"ふつう"が一番むずかしい

ラクしていきたい。

自分を粗末にするゾウ

昔々あるところに、とっても優しいゾウさんがいました。

 

ゾウさんは、身体が大きく力も強いので、小さな動物たちにいたずらされても怒りませんでした。

 

抜けるような青空に虹がかかったあの日、ゾウさんは自分と同じくらい大きなゾウと出会い、ひと目で好きになりました。


しかし、そのゾウさんは暴れん坊。

勢いよく鼻を振り回し、ゾウさんのことを叩きます。それでもゾウさんはニコニコしているので、暴れん坊のゾウさんは自分を雑に扱われても笑い続けるゾウさんの姿に不安を覚え、去っていきました。

 

ゾウさんは、心に穴が空いたような気持ちになりました。

暴れん坊のゾウさんのことが好きだから、自分のことを受け入れてもらえたれ嬉しいと思って、何をされても我慢したのに。これが愛だと思ったのに、どうして去っていってしまったんだろう。

 

寂しい気持ちを埋めるように、ゾウさんはまた動物たちと戯れる日々に戻りました。
空に虹がかかるたび、暴れん坊のゾウさんのことを思い出します。
肉食獣に脚を噛まれても、食いちぎられても、一瞬顔をしかめるだけ。
次の瞬間にはニコニコと笑う。

 

そのうち、地響きと共に砂埃が舞い上がった。